貸したお金がつないだ縁

大学生の頃、友人に貸したお金が今になって帰ってきました。額にして一万円です。貸した当初はお金が返ってくるかどうか随分悩んだ覚えがありますが、年月がたつにつれ自然に忘れ去ってしまっていたようで、友人から一万円を渡されても一瞬何のことかわかりませんでした。友人は利息代として、友人の実家で作ったお酒も一緒にくれました。
お金を返してもらったことで、その時の情景を色々と思い出してきました。友人の実家の経営が上手くいかなくなったこと、心労で父親が倒れてしまったこと、直ぐに実家に帰らなければならなくなったこと。その時貧乏学生で、親の仕送りと僅かなバイト代でなんとか生活していた私にも同じような立場の友人にもお金がなく、それで私がへそくりの一万円を貸したのです。
友人はその時バイト代で直ぐ返すといっていましたが、その後友人がバイト先からそれまでのバイト代を受け取った上で帰省していたことが明らかになり、私は咄嗟に騙されたのだと思いました。連絡してみるのも怖くて、ひたすら向こうから連絡が来るのを待ちました。それっきり何年も忘れていたのです。
今となっては私の方が薄情だった気がしますね、友人の状況は気遣われるべきもので、どうなったかと案じるぐらいはするべきだったと思います。お陰で今に至るまで、親交はぷっつりと途絶えたままになりました。
今は何とか家業を立て直してやっているという友人に、何というべきか言葉が見つかりませんでしたが、友人の方から今度飲みにでもといってくれたので、また付き合っていくことができるかもしれません。